ふゆことの初デート

その日はとびきり寒かった記憶があります。ふゆこは前日に「22時には合流できます」という連絡をしてきました。22時なんて普通なら食事は終わっているような時間でしたが、ふゆこは専門学校に通っているのでその時間も仕方ない、むしろ、そんな時間でも会ってくれることに感動しました。

取引先との打合せが終わり、すでにお腹ペコペコでしたがカフェでメールチェックや資料作りの仕事をしながらふゆことの待ち合わせ時間を待ちました。私の知っているお店の中でとびきり美味しい肉料理を出すお店です。ふゆこはお肉が大好きだと言っていたのでその店を選びました。

ふゆこは時間通りに約束の場所に現れました。

「けんさんのような素敵な人とご一緒できて嬉しいです。」

食事中、ふゆこはこんな言葉をさらっと言ってのけました。私は浮かれてとても楽しかったのを覚えています(笑)

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。楽しく会話をしていたらすぐにお店からお会計を催促されてしまいました。時計を見るともう23時半を回っています。ふゆこが住んでいるという街まで行く終電まではあまり余裕の無い時間でした。

お会計を済ませ、じゃあ駅まで送っていくよと歩きだしたところで、ふゆこから「もう1軒行きましょう」と腕を引っ張られました。

ふわふわのコートの心地よい肌触りと、厳しい寒さの中で若干伝わるふゆこの暖かさを感じ、少し良からぬことも期待してドキドキしながら、

「あれ?終電もうすぐじゃない?大丈夫?」

と言いました。

「大丈夫です、まだ少し時間あるので、もう少し一緒にいたいんです」

ふゆこの「一緒にいたい」という言葉に私は浮かれてましたが、このとき私は相当「痛い」男だったと思います(笑)

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