ふゆことの出会い

とても寒い冬の日でした。ふゆこは真っ白なふわふわのコートに身を包み、ほほを赤く染めて現れました。少し遅れて待ち合わせのお店に来たので、私と役員と彼女さんはすでに挨拶を済ませて席についていました。

店内に入ってきたふゆこはとても可愛らしかったのを覚えています。コートを脱いで見える手の肌も透き通るように白くて綺麗で、私は一瞬でふゆこに心を奪われました。

ふゆこは大学を卒業したばかりと言っていましたが、何年か休学していたということで年齢は27歳でした。丸顔で少し舌っ足らずな喋り方をするために年齢よりもかなり若く見えました。歯科医院の受付をやりながら、夜は専門学校に通って秘書検定の勉強しているとのことで、その頑張りにも惹かれるものがありました。

聡明な読者の方はすでにお気づきかもしれませんが、ここまでの話の中でも矛盾が出てきています。

なぜその日は専門学校が無いのか、なぜ初めての人を紹介されるような飲み会に来るのか、これらの怪しい点があるのですが、20代、30代を日本で過ごしておらず女性慣れもしていない私は、ただ、取引先の役員が良い女性を紹介してくれたなとしか思っていませんでした。

ふゆこは先手を打ったのか、私になぜ今日は専門学校に行く必要がないのかを説明してくれました。ふゆこからどのように説明されたか私は覚えていません。それくらい私にとってはどうでも良かったことなのでしょう。

この日から私はすっかりふゆこの虜です。

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